田中和人作陶展:阪急うめだ本店7階画廊(スケッチ&コメント)

38回生・江嵜健一郎



田中和人作陶展が3月11~17日間、阪急うめだ7階画廊で開催されており、 楽しみにして出かけた。ここ数日関西も日中に小雪がちらつく寒い日が続いて いるが、大阪キタ界隈にはこの日も大勢の人が出ていた。

会場に着くや、田中和人さんがいつも通りの柔和な笑顔で出迎えてくれた。 氏は母校甲陽学院の45回生で、小生より7年後輩である。しかし、氏の作陶展は 今回で21回目を数える。その道のオーソリティーであるが、毎回斬新な切り口で 意欲的な作品を次々見せてくれる。

会場中央に用意されたイスに座ったところ、正面に椿と桃の花を生けた大きな 花瓶が目に飛び込んで来た。会場の展示棚には、花瓶、壺、飾り皿、ぐい飲み など数えきれないほどの作品が披露されていた。

イスに座るなり失礼も顧みず、挨拶もそこそこに会場の様子をスケッチさせて いただいた。いつもの流儀で、目の前を通る客をその都度描きこみ、田中氏の姿を 描きこんで仕上げた。

一息ついたところで、今回の作品について特徴的なことは何かと田中氏に水を 向けた。開口一番「閉じて開ける。」という言葉が飛び出した。「まんまるい形の器 をつくる。そのあと、どこに穴を開けるかが、実に楽しみなんですよ。」と話した。

一般的には上から穴を開ける。ところが正面に見える花瓶は正面と左右に各1. 合計3つ穴が開いていた。壁にぶら下げてある花さしもそれぞれ穴の場所が微妙に 違っていた。それが独特な味を出しており面白かった。

余計なはなしだと叱られそうだが、今年の景気はいかがですかと尋ねたら、高額 商品の売り場は混んでいるかもしれないが、我々のようなところは、景気がいいと いう印象は全くないと答えてくれた。

確かに外国人観光客が殺到する売り場や地下の食料品売り場は混んでいる。 しかし、デパートの全てのフロアが潤っている印象はこの日もなかった。先日発表さ れた街角景気判断はやや上向きと出ていたが、本格的な景気回復には到底至っていな いのかもしれない。

最寄りにお越しの向きは、田中和人作陶展は3月17日まで開催されており、会場の 阪急梅田7階画廊にお運びいただければありがたい。(了)

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