第22回田中和人作陶展:阪急うめだ本店7階画廊(スケッチ&コメント)

38回生・江嵜健一郎



「田中和人 作陶展」が、うめだ阪急、7階美術画廊で3月13日まで開かれている。 楽しみにして初日の7日午後に出かけた。会場の様子をスケッチした。いつもは会場 での田中和人さんの後ろ姿を描いている。この日は、ふと、正面から描いてみたくな り、彼を描きこんで仕上げた。「あんまり年寄りに描かんといてな」と、にこにこ笑 いながら、彼から注文が付いた。

以前田中和人さんは「作品が受け取ってもらう人を待ってるんかもしれんな。」と言 われたことがある。人にも人との出会いがある。それと同じように人と物にも出会い があるようだ。この日、ある湯飲みと目が合った。手触りが最高だったが、帰宅して 早速、お茶をいただいたところ口当たり抜群で、今朝飲んだ同じお茶の葉であること も忘れるほどおいしかったことを白状する。

田中和人さんは料理を思い浮かべながら器を作るのだそうだ。盛り付けされるおかず を頭に描きながら作品も作る。それがまた楽しいという。田中さんの優しいお人柄が 器に乗り移るのかもしれない。この日料理道具を買い求められたあるご婦人が「料理 がおいしく頂けるので、田中さんの作陶展では毎回、何かいただいて帰ります。」と 話す声が聞くとはなしに聞こえた。

会場入り口に田中和人さんの簡単な履歴が紹介されていた。「1945年、中国漢口生ま れ。1964年、伊勢市の奥田康博氏に師事。三田市木器(こうづき)で独立。」とあっ た。三田の薪窯を2度,3度お邪魔したことがある。今年高校に上がる孫が小学1年 にお邪魔した時、目を輝かせて、粘土をこねてカップを作り、数日後に出来上がりを 自宅へお送りいただいたときのことを昨日のことのように思い出す。

余談ながら、田中和人さんの作品の大壺が母校、甲陽学院高校に寄贈され、応接間に 飾られている。今回の作陶展には壺はないが、花器、花瓶、挿花入、湯飲み、ぐい飲 み、飾り皿、料理皿などなど、眺めるだけでも実に楽しい。最寄りにお出かけの向き は時間が許せば田中和人、作陶展に足を運んでいただければありがたい。(了)

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